サイバー攻撃が増大する中、民間・行政問わずBCP(事業継続計画)として常識になりつつあるバックアップ。さらに個人でも災害や、突然やってくる機器の故障に備えてバックアップしておくことは必須です。
ただ、一口にバックアップといっても大きく「イメージバックアップ」と「ファイルバックアップ」に分けられることをご存じでしょうか?
今回は特にイメージバックアップにフォーカスし、個人や企業がイメージバックアップを行なったり、導入したりする際のメリット・デメリットを取り上げます。また、ファイルバックアップとの違い、イメージバックアップの仕方、およびバックアップデータを復元する具体的な方法についても解説します。
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目次
イメージバックアップとは?
イメージバックアップとは、すべてのファイルやアプリ、ソフトウェアだけでなく、ユーザーアカウントや各種設定、さらにオペレーティングシステムを含むシステム全体をバックアップすることです。
ファイルバックアップは名称から「ファイルをバックアップする」ことだと分かりますが、なぜ「イメージ」バックアップと呼ぶのでしょうか?
それはバックアップしたファイルやフォルダを「イメージファイル」、つまりファイルやフォルダを階層構造のまま保存するからです。
例えば、1000ピースのジグソーパズルを完成させたとしましょう。誰かがそのジグソーパズルを盗んだり、壊したりしないように、ピースを一旦バラバラにして、箱にしまっておけば再び作り上げることができますが、それには膨大な時間がかかります。そこで普通は完成作品をそのまま、どこか別の場所に大切に保管しておくのではないでしょうか。
イメージバックアップとは例えるなら、ジグソーパズルの完成品をそのまま保管するようなものです。
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イメージバックアップ導入のメリット
イメージバックアップ導入にはどんなメリットがあるのでしょうか?
イメージバックアップではシステムを含めて全体をまるごとバックアップしているため、復元の際に新しいマシンにOS、ファイルシステムを再インストールしたり、必要なアプリケーションを入れたり、アカウントを設定したりする必要はありません。同様に、バックアップする対象であるファイルなどを吟味し、選択する手間も省けます。
導入前に確認すべき注意事項(デメリット)
イメージバックアップ導入はメリットばかりのように見えますが、注意すべきポイントもあります。以下で、5つの注意事項を確認してみましょう。
注意点①バックアップ先
個人がイメージバックアップを行う場合、バックアップ先はハードディスク、DVD/BDなどのメディアやストレージ、ネットワーク上の場所などから選べます。システムやアプリケーションを含めてまるごとバックアップするため、容量の大きな媒体が必要になります。
企業がイメージバックアップを行う場合はバックアップ先として、データセンター内の物理的サーバーか、仮想サーバー、あるいはクラウド型サーバーを選択することになるでしょう。この点、扱うデータ量が年々増加しているため、データ容量が大きくても安心なクラウドへのバックアップを活用する企業も増えています。
注意点②システムイメージの上書き
イメージバックアップをすでに一度行なった場合、同じハードディスクドライブやデバイスにバックアップしようとするとシステムイメージが上書きされてしまいます。そのため、上書きを避けるためには別のデバイスを選択する必要があります。
注意点③回復ドライブ/システム修復ディスク
個人がバックアップを行おうとする場合に使用するツールとして「回復ドライブ」と「システム修復ディスク」があります。混同されがちなこの2つのツールの違いについても触れておきましょう。
回復ドライブとは、リカバリーディスク(recovery disk)と呼ばれることもありますが、このツールを使うことで、パソコンにトラブルが起きたときでも工場出荷時の初期状態までデータを復元できます。以前はそれらのデータはCDやDVDに収められていましたが、回復ドライブにはOSなどのデータも含まれるため、より容量の大きなUSBメモリや外付けHDDが使われるようになりました。
これに対してシステム修復ディスクとは、Windowsが起動しなくなったときに元の状態に復元するためのツールです。ただ、回復ドライブとは異なり、復元の元になるバックアップデータは含まれていないという違いがあります。
これらいずれのツールを使っても、イメージバックアップができるわけではない、ということに注意しましょう。回復ドライブは単にPCをまっさらな状態に戻すだけですし、システム修復ディスクはそもそも復元するためのバックアップデータを持ち合わせていないからです。
注意点④パソコンの動作に問題が生じている場合
使っているパソコンの動作に不具合が生じている状況でイメージバックアップを行うと、その問題の箇所もそのまま丸ごとバックアップされます。そのため、そのバックアップデータに基づいて問題箇所の履歴もそのまま復元されてしまいます。パソコンの動作に問題が生じている場合はイメージバックアップは避けましょう。
注意点⑤ノートパソコン/タブレットパソコンをお使いの場合
イメージバックアップには時間がかかるため、デスクトップではなくノートパソコンやタブレットパソコンの場合は電源が切れてしまうことが懸念されます。そのため、電源が切れないようにACアダプタを接続しておきましょう。また、液晶ディスプレイを閉じてしまうとスリープモードになり、バックアップが中断する可能性もあるため、開けたままで作業を行なってください。
その他にも注意すべき点はありますが、イメージバックアップを実行する際は以上の5点をまずは一覧しておく必要があります。
バックアップの2つの方法
ここからは、冒頭で説明したイメージバックアップとファイルバックアップとの違いについてご説明します。
イメージバックアップとファイルバックアップの違い
冒頭部分でジグソーパズルの例えを挙げましたが、イメージバックアップが完成品をそのままばらさずに保存するのに対し、ファイルバックアップはいわばジグソーパズルのピースごとに保存するように、ファイル単位でバックアップをとります。
イメージバックアップはハードディスクを丸ごと保存するため、そのバックアップ作業に時間がかかるのに対し、ファイルバックアップは自分が必要とするファイルだけ選択して保存するので、時間も容量も節約できます。
決定的なデメリットは、万が一トラブルが起きて復元作業を行うとき、ファイルバックアップでは、WindowsなどのOSや必要なアプリケーションをまず再インストールしないとせっかくバックアップをとったファイルも開けないという点です。また、細かに行なっていた環境設定なども全部一からやり直さなければならないため、復元に膨大な手間がかかります。
個人で復元作業を行うことも大変ですが、企業であれば場合によって何日も業務に支障が出てしまうため、大きな経済的損失に繋がる可能性もあります。
イメージバックアップとファイルバックアップの比較表
ここまで説明したことを表にまとめ、イメージバックアップとファイルバックアップを比較しますので、ご参照ください。
イメージバックアップはシステムを対象にデータからアプリケーション、環境設定まですべてをバックアップするため、バックアップ作業に時間がかかります。平常時にかかる時間的、人的コストは高いですが、万が一トラブルが起きた場合には低コスト、短時間で復元作業を行なえます。ファイルバックアップはその逆です。
個人であっても、企業であっても、災害やサイバー攻撃などにより、いつ、どのような形でデータを失うか分からない時代にあって、常に非常事態を想定して対策しておくことはリスクマネジメントとして有効です。その観点から見れば、イメージバックアップに軍配が上がるといえるでしょう。
システムイメージ(イメージバックアップ)のやり方
以下ではイメージバックアップを行う具体的な方法について、MicrosoftのWindowsを例に説明します。いずれの場合も、イメージバックアップ先として専用の外付けHDDを事前にご用意ください。製品にもよりますが、比較的安価で購入できるはずです。
イメージバックアップ:windows10の場合
①イメージバックアップを作成します。「スタートメニュー」→「Windowsシステムツール」→「コントロールパネル」を開きます(「検索ボックス」からも開くことは可能)。「コントロールパネル」の「システムとセキュリティ」の中にある「バックアップと復元(Windows7)」を選択します。
②「システムイメージの作成」を選択します。
③システムイメージのバックアップ先で、接続した外付けHDDを選びます。イメージバックアップの実行を開始し、完了するまでしばらく待ちます。
④DVDドライブに空のメディアをセットし、「システム修復ディスクを作成しますか?」で「はい」をクリックします。
イメージバックアップ:windows11の場合
①イメージバックアップを作成します。
「スタート」→右上の「すべてのアプリ」→「Windowsシステムツール」→「コントロールパネル」を開きます(「検索ボックス」からも開くことは可能)。「コントロールパネル」の「システムとセキュリティ」の中にある「バックアップと復元(Windows7)」を選択します。
②「システムイメージの作成」を選択し、保存先を接続した外付けHDDに指定します。
③バックアップ元とバックアップ先以外にも一緒にバックアップしたドライブがある場合はそれも含めて、バックアップを開始します。終了するまでしばらく待ちます。
④DVDドライブに空のメディアをセットし、「システム修復ディスクを作成しますか?」で「はい」をクリックします。
イメージバックアップを復元する方法
外付けHDDからシステムイメージを復元
万が一トラブルが発生した場合、バックアップしておいたイメージファイルから復元ができます。その手順について説明します。
Windows10システムイメージからの復元
①「スタート」→「設定」→「システム」の順にクリックします。
②「システム」の画面左下の「詳細情報」をクリックし、「システムの保護」を選択します。
③「システムのプロパティ」が表示されるので、「システムの復元」をクリックします。
④「システムファイルと設定を復元します。」という画面が出たら、「別の復元ポイントを選択する」を選び、「次へ」をクリックします。
⑤任意の復元ポイントをクリックし、「影響を受けるプログラムの検出」をクリックします。
⑥「削除されるプログラムとドライバー」ボックスと「復元が見込まれるプログラムとドライバー」ボックスを確認して問題がなければ「閉じる」をクリックします。
⑦復元ポイントが選択されていることを確認して、「次へ」をクリックします。「復元ポイントの確認」という画面で内容をチェックしたら、「完了」をクリックします。
⑧「いったんシステムの復元を開始したら、中断することはできません。続行しますか?」とメッセージが表示されるので、「はい」をクリックします。その後、システムの復元が開始するため、しばらく待ちます。
⑨正常に完了したことを確認します。
Windows11システムイメージからの復元
①「スタートボタン」→右上の「すべてのアプリ」→「Windowsツール」の順にクリックし、「コントロールパネル」を選択します。
②「コントロールパネル」の「システムとセキュリティ」の中から「セキュリティとメンテナンス」を選択します。
③「回復」→「システムの復元を開く」をクリックします。
④「システムファイルと設定を復元します。」という画面が出たら、「別の復元ポイントを選択する」を選び、「次へ」をクリックします。
⑤「選択したイベントの前の状態にコンピューターを復元します」と表示されるため、確認して「次へ」をクリックします。
⑥「復元ポイントの確認」と表示されるため、確認して問題がなければ「完了」をクリックします。
⑦「いったんシステムの復元を開始したら、中断することはできません。続行しますか?」とメッセージが表示されるので、「はい」をクリックします。その後、システムの復元が開始するため、しばらく待ちます。
⑧正常に完了したことを確認します。
イメージバックアップなら使えるねっとがおすすめ
今後、起こり得る災害やサイバー攻撃に備えて、個人だけでなく、会社にも今の時点で万全の対応が求められます。「必ず起きるわけじゃないから」と先延ばしするのは危険です。
上述したようにイメージバックアップなら企業にとって重要な資産ともいうべき情報をシステムやアプリケーション、環境設定を含めて丸ごとバックアップできます。
使えるねっとが提供する「使えるクラウドバックアップ」はイメージバックアップを採用しており、お客様のPCやサーバーのデータを丸ごと弊社のデータセンターへ保存できます。また、DR(ディザスタ・リカバリ)機能も併せてご利用いただくことで、災害やサイバー攻撃、人的要因やシステム障害などが発生した場合には、バックアップデータからボタン一つで弊社のクラウド上でお客様の社内システムを瞬時に起動でき、システムのダウンタイムを最小限に留めることが可能です。
また、大切なバックアップデータはAES-256で暗号化し、長野県のデータセンターで大切に保管します。設定により、お客様のHDDやNASに保存することもできます。もちろん、マルウェア対策にも優れており、「アクティブプロテクション」によって、Petya、WannaCry、Osirisなど最新のランサムウェアからもシステムとデータをしっかり保護します。
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クラウドバックアップは単なる「便利なサービス」ではなく、導入するかどうかは企業経営、リスクマネジメントとも関連する非常に重要な決定です。そのため、弊社では30日間の無料トライアル期間を準備しており、操作感や機能をお試しいただけます。是非お気軽にお問い合わせください。
価格は月単価2,200円(税込)~、用途や必要なサイズに合わせて、バックアップコストを最適化させるために複数ある多彩なプランからお選びいただくことができます。
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