企業が情報を管理したり、共有したりする方法はさまざまです。その中の一つにNASがあります。近年、従来のファイルサーバに替えて、NASを導入する企業が増加しているともいわれています。
ここでは、NASとファイルサーバの違いや、それぞれのメリット・デメリット、選び方について、さらには「第三の選択肢」としてのクラウド型ファイルサーバの特徴について解説します。
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目次
NASとファイルサーバの違いについて
NASとファイルサーバができること
ファイルサーバの見直しが求められている背景
ファイルサーバのメリット5つ
ファイルサーバのデメリット2つ
NASのメリット3つ
NASのデメリット2つ
NASとファイルサーバ5つの比較ポイント
NASとファイルサーバはどちらを使うべき?
NAS及びファイルサーバを運用する際の注意点
クラウド型のファイルサーバとは?
クラウド型ファイルサーバのメリット
クラウド型ファイルサーバのデメリット
「使えるファイル箱」ならコストを抑えてデータ共有が可能
FAQ
NASとファイルサーバの違いについて
最初にNASとファイルサーバとは何か、それぞれの使い方と違いについて説明します。両者の違いについてよく理解しないまま導入すると、かえって業務効率が低下したり、必要以上にコストがかかったりする可能性があります。
NASとは
NASとは「Network Attached Storage」の頭文字を組み合わせたもので、日本語に訳すと「ネットワーク接続型ストレージ」です。
名前が示す通り、NASとはストレージ(補助記憶装置)です。すぐに思い浮かぶストレージとしてはPCとUSBケーブルなどで接続する外付けハードディスクがありますが、NASはネットワークを経由して接続する点が異なります。
NASの使い方
NASの主な使い方はファイルのバックアップと共有です。
ネットワークで接続しているため、ネットワーク内の異なるユーザがアクセスし、パソコンやスマートフォンなどのデータをバックアップしたり、相互に共有したりすることが可能です。
ファイルサーバとは
ファイルサーバとは、ネットワークを経由してファイルを管理したり、共有したりするためのシステムのことです。
サーバとはそもそも、ネットワークでつながるコンピュータからのリクエストに応じてさまざまなデータや機能を提供する仕組みのことです。サーバには、Webサーバやメールサーバがありますが、ファイルサーバとは、その中でもファイルの管理や共有に特化した機能を提供する仕組みを指します。
ファイルサーバの使い方
ファイルサーバは基本的に自社で導入構築するため、業務や用途に合わせて柔軟に設定したり、機能を追加したりできます。
例えば、管理者はファイルやフォルダごとにアクセス権限を自由に変更できます。また、ファイルサーバ上でのアクセスや編集などの履歴を記録すること(アクセスログ)も可能です。
NASとファイルサーバの基本的な違い
NASはハードディスクと同じような「機器」であり、ファイルサーバは「システム」です。
そのため、NASは購入して、すでに構築されているネットワークに接続すれば使えるのに対して、ファイルサーバは端末、ソフトウェアなどを組み合わせて構築するため、より手間がかかります。また、導入後に管理や運用をする上でも、ファイルサーバはNASよりもコストがかかります。
NASとファイルサーバができること
ここでは、NASとファイルサーバを比較します。どちら「にも」できること、どちらかに「しか」できないことを明確にすることで、自社にとって最適なソリューションを見つけられるでしょう。
NASとファイルサーバが両方できること
NASとファイルサーバが両方できるのは、ファイルの保存と共有です。
ファイルの保存ができるので、ネットワーク内のユーザは自分のパソコンを使って作成したファイルの保存先としてNASやファイルサーバを選べます。その結果、自分のパソコンのハードディスクがいっぱいになってしまうことを防げますし、データをNASやファイルサーバにバックアップし、万が一のデータ消失リスクにも備えられます。
また、NASやファイルサーバにデータを共有することで、他のユーザとの共同作業も楽になります。もし、NASやファイルサーバを使わなれば、メールに添付したり、USBメモリを使ったやりとりになったりするため、情報漏洩のリスクが高まります。つまり、NASやファイルサーバは情報セキュリティのソリューションとしても有効なのです。
NASだけができること
ファイルサーバと比べてNASが優れているのは、導入や運用が簡単なことです。NASはファイルサーバと違って自分でネットワーク構築する必要がないため、導入時に細かな設定は必要ありません。
ファイルサーバだけができること
NASよりもファイルサーバが優れているのは、導入時に自社のニーズに合わせて柔軟に機能を設定したり、追加したりできる点です。NASはあくまでも「ストレージ」のため、データの保存がメインですが、ファイルサーバは「システム」としてのカスタマイズが可能なのです。
ファイルサーバの見直しが求められている背景
ファイルサーバの見直しが求められている背景には、企業を取り巻く環境が大きく変化している点が挙げられます。ここでは具体的な2つの点を説明します。
・ランサムウェア攻撃などへの対応の必要性
・新しい働き方の普及
以下で一つずつ解説していきます。
ランサムウェア攻撃などへの対応の必要性
ランサムウェアとは、パソコンやサーバなどの端末を感染させて中のデータを暗号化し、そのデータを復元するために対価(金銭や暗号資産)を要求する不正プログラムです。いうまでもなく、ファイルサーバの中に保管されているデータも被害ターゲットになります。警察庁が2024年3月に発表した資料によると、2023年中に警察庁に報告されたランサムウェアの被害件数は197件で、前年比14.3%減でしたが、引き続き高い水準で推移しています。
リモートワークなどの柔軟な働き方に対応し生産性を維持しながらも、新たな脅威に対処していくことがすべての企業に求められています。
新しい働き方の普及
従来、端末がすべてオフィスに存在し、社内で情報を共有するにはファイルサーバで何ら問題はありませんでした。しかし、テレワークの導入で従業員が社外からもアクセスする必要が増大しています。
ファイルサーバに社外からアクセスする場合、VPNを使用することが一般的です。しかし、VPNを使用すれば安全という訳ではありません。例えば、IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威2024」によると、「テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃」が組織の情報セキュリティ上の脅威で第9位にランクインしており、その主な理由の一つはVPNの脆弱性を狙った不正アクセスだと考えられます。
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ファイルサーバのメリット5つ
ファイルサーバの最大の特徴は、上述したように柔軟な設定と自社のニーズに合わせた機能の追加です。さらに具体化すると、以下の5つに集約できます。
1. アクセス権を詳細に設定できる
2. スムーズに容量を拡張できる
3. 機能をカスタマイズできる
4. 業務効率の向上
5. 情報セキュリティの向上
1つずつ解説します。
1. アクセス権を詳細に設定できる
一般的にWindows Serverなどのサーバ用OSでは、Active Directory(Microsoftのユーザ管理機能)などにより、権限管理が容易です。
アクセス権を詳細に設定することで、不正アクセスのリスクを軽減でき、社内の情報セキュリティが向上します。
2. スムーズに容量を拡張できる
通常、個人で使うパソコンでHDDやSSDを増設するのは2台が限界です。しかし、ファイルサーバであれば、数百から数千のHDD、SDDを搭載できます。近年、扱うデータや1つ1つのファイルの大きさが増大しているため、ファイルサーバの拡張性は大きな魅力といえるでしょう。
3. 機能をカスタマイズできる
ファイルサーバでは、自社の特性や業務に合わせて自由度高く機能を追加できます。また、データの重要性に基づいて、自社のセキュリティポリシーに合わせてシステムをカスタマイズできるのもファイルサーバのメリットといえます。
4. 業務効率の向上
企業にとって業務効率の向上は常に重要な課題です。そのための施策はいろいろと考えられますが、データの管理、共有方法は中でも鍵といえるでしょう。ファイルサーバなら、自社の規模や業務内容、直近の課題などに合わせて、比較的自由に設定を変更したり、機能を追加したりできます。
5. 情報セキュリティの向上
今や情報は企業にとっては「資産」のひとつです。データ消失が一旦発生してしまえば、顧客からの信頼を失いますし、経済的な損害もはかり知れません。ファイルサーバは、セキュリティ設定も自由度が高いため、日々変化する企業の情報資産を脅かすサイバー攻撃に合わせて対策を講じることができます。
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ファイルサーバのデメリット2つ
上述したようにファイルサーバには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。ファイルサーバは社内に設置するため、その保守管理を自社で行うことになります。具体的には、以下の2つのデメリットに集約されます。
1. 専門スタッフの常駐が必要
2. コストがかかる
1. 専門スタッフの常駐が必要
ファイルサーバは社内に設置し、社内に専門スタッフを常駐させることになります。その分、社内リソースをファイルサーバの保守管理に割くことになります。少子高齢化で労働力人口が減少している昨今、特に中小企業では人手不足が深刻です。そのため、専門スタッフを常駐することは現実的に困難な場合が少なくありません。
2. コストがかかる
ファイルサーバの設置には、高い導入コストがかかります。具体的には、サーバ機器の購入にかかる費用や社内環境の構築や初期設定にかかるコストも含まれます。
また、導入後のランニングコストにも注意が必要です。ライセンス費用やハードウェア、ソフトウェアのメンテナンス費用、サーバの稼働や空調のための光熱費などもかかります。さらにいずれ古くなったら、ファイルシステム全体を再構築することも不可避であり、それには膨大な費用がかかります。
NASのメリット3つ
上述したように、NASの最大の特徴は簡易な導入と運用です。そのことを前提にすると、具体的には以下の3点にまとめられます。
1. ファイルサーバに比べ手軽に導入できる
2. 自社の人的リソースの節約
3. 費用を抑えられる
1つずつ、各メリットの内容について説明します。
1. ファイルサーバに比べ手軽に導入できる
NASの最大のメリットは手軽に導入できる点でしょう。上述したようにファイルサーバの設定には膨大なイニシャルコストがかかります。それに対して、NASはほとんどの場合、ベンダーから製品を購入して、ケーブルをつないで簡単な設定をすればすぐに利用可能です。
2. 自社の人的リソースの節約
導入や運用が簡単なため、自社で専門スタッフを常駐させる必要がありません。そのため、社内の限られた人的リソースを他の業務に回すことができます。もし、使用上のトラブルが発生したら、社内スタッフがメーカーのサポートセンターに問い合わせることでほとんどの場合は解決が可能です。
3. 費用を抑えられる
「NASを導入する」と聞くと多額のコストがかかるイメージがありますが、簡単にいえばこれはストレージを購入することと同じです。そのため、従業員50人程度の中小企業向けなら10~30万円程度で購入でき、運用にも多くのコストはかかりません。
NASのデメリット2つ
NASは導入、運用いずれの面でもコストを抑えられるため、中小企業には嬉しいのですが、デメリットもあります。具体的には主に2点にまとめられます。
1. 拡張性に限界がある
2. セキュリティレベルに限界がある
以下、それぞれのデメリットについて、その内容を説明します。
1. 拡張性に限界がある
NASは導入時に複雑な設定は必要ない半面、拡張性に欠けます。また、運用期間中に自由に設定を変更したり、機能を追加したりする点でも限界があります。
2. セキュリティレベルに限界がある
NASにもウイルス対策やアクセス権限の設定は可能ですが、状況に合わせた設定の自由度には限界があります。その点で、企業をとりまくサイバー攻撃の多様化を考えると、やや不安を感じる人もいるかもしれません。
NASとファイルサーバ5つの比較ポイント
NASとファイルサーバの比較ポイントは次の通りです。
1. カスタマイズ性
2. 利用範囲
3. セキュリティ対策
4. 導入、運用方法
5. 導入、運用のコスト
それぞれのポイントについてどちらが自社に最適なのか分析してみましょう。
1. カスタマイズ性
カスタマイズ性が高ければ高いほど、自社の業務や事業規模に最適化しやすくなります。この点、ファイルサーバはまさに自社にフィットするように機器を購入し、システムを構築します。そのため、非常にカスタマイズ性は高いといえるでしょう。一方、NASはファイルサーバほどのカスタマイズ性の高さはありません。カスタマイズ性についていえば、ファイルサーバに軍配が上がります。
2. 利用範囲
どんなシステムでも、漫然と導入すると失敗してしまいます。大切なのは、利用範囲や目的を確定しておくことです。例えば、自社は情報共有することでどのような課題を解決したいのか、そのためにはファイルサーバとNASとどちらが適切なのか、ということです。利用目的を明確にすれば、利用範囲も自ずから絞り込まれてきます。自社の従業員だけで利用するのか、それとも取引先など外部メンバーも含めて利用するのか、保管し共有したいデータはどのくらいのか、などです。
3. セキュリティ対策
結論からいうと、ファイルサーバの方がより安全性の高い情報セキュリティ対策を講じることができます。例えば、サイバー攻撃に対する対策についていえば、ファイルサーバはかなり細かいカスタマイズができるため、情報の重要度に合わせたセキュリティ対策が可能です。それに対して、NASはカスタマイズ性に限界があり、セキュリティ対策が手薄になりがちです。
また、物理的にもNASはコンパクトで持ち運べるメリットがある一方、その分、盗難などによるセキュリティリスクが高まります。ファイルサーバの場合、物理的な持ち出しはほぼあり得ません。
4. 導入、運用方法
上述したように導入の際にファイルサーバは大規模なシステム構築が必要です。それに対してNASは複雑な設定は不要であり、導入したらすぐに利用できます。
5. 導入、運用のコスト
NASはファイルサーバに比べて、導入や運用に手間がかからないため、その分コストも抑えることが必然的に可能です。
参考:NTTコミュニケーションズ 「ファイルサーバーとは? NASとの違いや選び方のポイントなどを解説」
NASとファイルサーバはどちらを使うべき?
NASかファイルサーバかどちらを選べば良いか迷いますが、重要なのは「何のために導入するのか」を明確にすることです。
「利用目的」に応じて選ぼう
NASとファイルサーバに限ったことではありませんが、機器やシステムを選ぶ際には利用目的をはっきりさせておくことが大切です。
例えば端末に関していえば、スマートフォンやタブレットはいつでもどこでもデータの閲覧をするのに最適なツールですが、動画編集など複雑な作業を行うには限界があります。対して、デスクトップはオフィスや自宅での使用に限られますが、作業範囲は広がります。
端末を使って何をしたいか明確にしておかなければ、費用をかけたものの十分に使いきれないという結果になりかねません。NASとファイルサーバにも同じことがいえます。
NASが適しているケース
NASが適しているのは、小規模の組織でできるだけコストを抑え、ファイルの保管や共有を行いたい場合です。小規模の組織であれば、ネットワーク内のユーザの業務も共通しているため、細かな設定変更がそれほど必要ないことも多いでしょう。
ファイルサーバが適しているケース
ファイルサーバが適しているのは、大規模な組織でファイルの保管や共有に加え、複数部署の多様な業務に対応するために柔軟な設定をしたり、機能を追加したりする場合です。
また、現在は小規模であっても、近い将来に従業員数や業務の増大が見込まれる場合もファイルサーバの導入を検討できます。そうすることで、イニシャルコストはかかるとしても、のちのち効率的にファイル共有を行うことで、生産性の向上が実現でき、長期的にはコスト削減につながるからです。
NAS及びファイルサーバを運用する際の注意点
NASを運用する際には物理的影響によるデータ消失のリスクが高い点、ファイルサーバを運用する際には初期コストや人的コストがかかることに注意しましょう。
以下、それぞれについて説明します。
物理的影響によるデータ消失リスクが高い
NASはあくまでもハードディスクと同じように「機器」であるため、物理的な衝撃や経年劣化によるデータ消失リスクがファイルサーバよりも高いといえます。
NASを選択する場合はデータ消失のリスクに備えて、バックアップは必要不可欠でしょう。
導入・運用に対して初期コスト・人的コストがかかる
ファイルサーバは単に機器を購入すれば済むわけではなく、導入にはシステム設計や構築に専門家の手を借りなければなりません。また、導入後も運用や保守点検には専門知識が求められるため、初期コストや人的コストがどうしてもかかってしまいます。
クラウド型のファイルサーバとは?
ここまで、NASとファイルサーバを比較してきました。どちらにも一長一短があり、迷ってしまうかもしれません。もしそうであれば、「第三の選択肢」としてクラウド型のファイルサーバも検討してみることをおすすめします。
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クラウド型ファイルサーバは、インターネットを経由したファイルの管理、共有システムです。
インターネットという外部接続ネットワークを使用する点で、社内ネットワークを前提にしたNASやファイルサーバと異なります。
また、自社でファイル保管場所となる機器を設置する必要がない点も特筆すべき点といえるでしょう。
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クラウド型ファイルサーバのメリット
クラウド型ファイルサーバのメリットは以下の4点です。
1. 専門スタッフを常駐させる必要がない
2. どこからでも接続できる
3. 柔軟な運用が可能
4. ランサムウェア対策が可能
以下で1つずつ解説します。
1. 専門スタッフを常駐させる必要がない
クラウド型ファイルサーバのストレージは、クラウドサービス提供業者のデータセンターです。そのため、ストレージの保守管理に自社でリソースを割く必要はありません。クラウドサービス提供業者の専門スタッフが24時間体制でモニターしているため安心です。
2. どこからでも接続できる
クラウド型ファイルストレージはファイルサーバと異なり、インターネットを経由してアクセスするため、どこからでも接続できます。中小企業を含め、多くの企業がテレワークを導入しており、働く場所も多様化しているため、オフィスの外からでも情報共有できるのは大きなメリットといえるでしょう。
3. 柔軟な運用が可能
ファイルサーバのカスタマイズ性の高さは大きな魅力ですが、クラウド型ファイルストレージもアクセス権限を制限したり、柔軟な運用が可能です。クラウド型ファイルストレージを提供している事業者はたくさんあるため、自社に合った機能やサービスをきっと見つけられるはずです。
4. ランサムウェア対策が可能
クラウド型ファイルストレージはランサムウェア対策でも大きな力を発揮します。
ランサムウェアとは、ターゲットが保有する情報を不正に暗号化し、データの復元と引き換えに多額の身代金を要求する悪質なマルウェアです。ランサムウェア攻撃に遭うと企業は多大なる損失を被ります。例えば、2024年6月に株式会社KADOKAWAグループはランサムウェア攻撃を受け、2025年3月期に36億円の特別損失を計上する見通しです。
大企業だけでなく、中小企業もランサムウェア攻撃の対象になります。警察庁が公表した「令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、業種を問わず中小企業が全体の約6割を占めています。
ランサムウェア攻撃を受けた場合、被害を最小限にとどめるためには早期に復旧作業を始めることがなによりも重要です。そのためには万が一に備えたバックアップが欠かせませんが、同じネットワークにつながっているファイルサーバやNASにバックアップデータを保存していると、端末がランサムウェアに感染することで、バックアップデータも暗号化されるリスクがあります。その点、クラウド型ファイルストレージにバックアップを取っておけば、安心なのです。
ウィルス・ランサムウェア対策からパッチ管理まで、クラウドバックアップの多彩な用途について知りたい方はこちら
クラウド型ファイルサーバのデメリット
もちろん、クラウド型ファイルサーバにもデメリットはあります。クラウド型ファイルサーバのデメリットは以下の3点です。
1. 既存システムと統合するのが困難
2. セキュリティリスクが高まる
3. 利用料金が高額になる可能性がある
以下で一つずつ解説します。
1. 既存システムと統合するのが困難
多くの企業がクラウド化を進めたいと思いながらも躊躇している理由の一つとして、既存システムとの統合が難しい点が挙げられます。新しく導入するクラウド型のシステムと既存システムとの連携がうまくいかず、データ共有の際に手作業工程が発生するなど、業務効率がかえって下がってしまうことはよくあります。もっともこの点は社内一丸となって一気にDXを進めることで解決することが可能です。クラウド化をチャンスととらえて、業務フローやシステム全体を見直してみるのも一つの手です。
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2. セキュリティリスクが高まる
何度も述べているようにクラウド型ファイルサーバはインターネットを経由するため、「閉じられた」社内ネットワークよりもセキュリティリスクはどうしても高まってしまいます。ただ、多くのクラウドストレージサービスがセキュリティ向上に注力しているため、比較して選ぶことでセキュリティ面での不安はかなり軽減できるはずです。
3. 利用料金が高額になる可能性がある
クラウド型ファイルサービスの特徴の1つは導入コストがファイルサーバに比べて低いことです。しかし、課金体系に注意しないと、運用コスト(利用料金)が高額になる可能性もあることを覚えておきましょう。
基本的なクラウドストレージサービス以外にも、オプションでさまざまなサービスを選択できるため、自社にとって本当に必要な機能を見極め、きちんと契約内容を確認しておけば料金について心配する必要はありません。
「使えるファイル箱」ならコストを抑えてデータ共有が可能
クラウド型ファイルサーバをお考えなら、「使えるファイル箱」がおすすめです。
「使えるファイル箱」なら、クラウドに保存したファイルを編集・整理し、Webリンクを使用してファイルやフォルダを無制限に他のユーザに共有できます。
心配なセキュリティに関しても2要素認証設定、暗号化、ログ記録、ISO認証データセンターなどで、自社の情報資産を情報漏洩からしっかり守ります。また、暗号化技術の中でも高い強度を誇る暗号化アルゴリズムAES256ビット暗号化を採用し、ウェブサーバとブラウザ間のデータ通信を暗号化するウェブ管理画面のSSL化も行うため、ファイル型クラウドサービスの懸念点であるセキュリティの不安も払拭してくれます。
ファイルサーバとNASの、それぞれのメリットを併せ持った「使えるファイル箱」を是非ご検討ください。
容量1TB、ユーザ数無制限で月単価21,230円(税込、スタンダードプランで1年契約の場合)からご利用いただけます。セキュリティ対策を強化し、容量を3TBにしたアドバンスプランなら月単価60,500円(税込、1年契約)で、WebDAV連携も可能です。料金体系がシンプルで分かりやすいのも使えるファイル箱の魅力です。
30日間の無料トライアルも実施していますので、まずは使い勝手の良さを体感してみてください。
FAQ
(1)ファイルサーバの種類は何がある?
主なファイルサーバには以下のようなものがあります。
・データベースサーバ
データベースサーバは数値などのデータの管理に特化したサーバで、通常ビジネスで使用するファイルは扱わない。
・クラウドサーバ
社内の機器ではなく、インターネットを経由してつながっているデータセンターにデータを保管するシステム。
・Windowsファイルサーバ
Windowsの機能を利用したユーザ間でファイルを共有するサーバ。導入が簡単だが、セキュリティリスクが高い点に注意。
(2)NASを導入するリスクは?
物理的損傷に弱いNASの最大のリスクは、設置場所で災害が起きた場合にデータ消失してしまう可能性が高い点です。
(3)NASやファイルサーバの置き場所は?
クラウド型ファイルサーバが社外のデータセンターにデータを格納するのに対して、NASやファイルサーバは社内に機器を設置して、そこにデータを保管します。
お電話でのお問い合わせはこちら:03-4590-8198
(営業時間:10:00-17:00)